住友商事ケミカルを選んだ理由は？
学生時代から抱いていた純粋な憧れから商社を志望しました。漠然と海外を舞台に社会やビジネスの基盤となる事業やプロジェクトに携わり、貢献していきたいという想いがありました。当社を選んだのは、学生との向き合い方が他の商社とまるで違ったからです。面接では志望動機を一切問われず、これまで私がどんなふうに生きてきたのか、じっくりと耳を傾けて聞いてくれました。また、先輩社員からじっくりと話を聞く時間を設けてもらい、会社として一学生に対する時間の掛け方に心打たれました。一人の人間として対等に向き合い、私自身を誠実に見てくれていると感じ、「ここだ！」と入社を決意しました。
今の仕事内容は？
スマートフォンやノートパソコン、デジタルカメラなどに組み込まれるフレキシブル基板（FPC）の材料の輸出取引に携わっています。FPCとは柔軟性を持った電子回路の板です。折りたたんだり丸めたりでき、薄く軽量なため、電子機器の狭小スペースに使用できるメリットがあります。FPCを製造する工程で使用される材料は補助的なものも含めて数百品目にもおよびます。
私は国内の材料メーカーなど30社を超える仕入先からさまざまな材料を調達し、販売先となるFPCメーカーの海外拠点に納入しています。基板材料は複数品目をコンテナにまとめて輸出しますが、その中には毒劇物に指定される薬剤などもあるため、法令に定められた規準を満たす容器に密閉して輸送するなど、きめ細かい対応が必要とされます。輸送コストにも関わってきますので、見積作成時から細心の注意を払っています。
成長につながったと感じた場面は？
今の部署に配属されてまもなく、販売先のFPCメーカーの製造工程について社内外用の説明資料を作成し、部内のメンバーにわかりやすく解説するようミッションが与えられました。化学に疎く、商材の知識もほとんどない中、時間を工面しながら先輩社員全員から必要な情報を集め、自身でも懸命に調べて資料の作成にあたりました。指導員の先輩からはより実務的なアドバイスを頂き、資料を何度も練り直す過程で、数百品目におよぶ商材がどの工程でどのように使われているのかFPCの製造手順について理解を深めていくことができました。上司や先輩社員に向けてプレゼンテーションを行ったところ、いくつかの点で厳しいフィードバックはあったものの、全体としてはよくまとめられていると評価していただくことができました。認めてもらえたという嬉しさに加えて、限られた時間の中で精一杯やり遂げた達成感を強く感じました。ここでビジネスの全体像を理解できたことは、その後仕事を進めていく上で大変役立ちました。
実際のトレーディングに携わるようになると、仕入先と販売先の間に立ち、国内外問わず価格や納期を交渉する業務と日々向き合います。電話やWEB、海外出張を含めた対面での打ち合わせを通じて、真に必要な要素を見定め、双方にとって最適な着地点を目指して交渉を重ねています。決して両者のメッセンジャーになるのではなく、相手の立場を考慮しながら自分の考えを持って、譲るべきところと要望を通すべきところを意識しながら提案をしています。大変なことはありますが、苦労した分、関係各所の合意が得られた際の喜びは大きいですし、販売先や仕入先から感謝していただけるとやりがいにもつながります。
今後挑戦していきたいことは？
FPCメーカーが新たに始めようとするビジネスにおいて、そのリスクリターンを分析し、関連法令を確認、必要書類の準備やサンプル手配など、取引先と状況を整理していくことは私自身、比較的取り組みやすい分野です。ですが、複雑な状況の中で要点をさっと適切な言葉にする対面コミュニケーションにはまだまだ課題があると感じています。そのため今後さまざまなビジネスシーンを通じて英語・日本語を問わずコミュニケーションの瞬発力を上げていきたいと思っています。
また、商社パーソンとして市場の生きた情報をタイムリーにキャッチして、新しいビジネスの可能性を探っていく能力も高めていきたいです。例えば、今後主力になる商品や材料の動向をいち早くキャッチできると、販売先や仕入先に対して今以上にもっと先を見据えた提案ができるようになると考えています。
現在私が携わっているビジネスは、全て諸先輩方が築き上げたベースの上に成り立っています。その志を正しく受け継ぎ、さらにビジネスを成長させていくためには社内外の関係者の方々の協力が不可欠です。周囲の方々への感謝の気持ちを日々忘れずに、目の前の業務に取り組まなければと感じています。いつの日か、このビジネスは自分が立ち上げたと胸を張れるように努力を続けていきたいと思います。
